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取り扱い事例

334 遺産の一つであった賃貸マンション1棟を鑑定したことによって、多額の代償金を取得できた

事案の概要

相続関係図

・Xが当事務所依頼者、Yが遺産分割の相手方、Aが被相続人
・●は、相続人、被相続人ではなく、既に死亡している人、
・○は、相続人、被相続人ではなく、生存している人
・横線は婚姻関係を示し、縦線は親子関係を示す(実線が実親子、点線が養親子)

被相続人Aは、依頼者Xの父(XはAの長女)。Aの相続人は妻Y1と長女Xと長男Y2
Aの遺産には、築約3年、13階建ての大きな賃貸マンションがあった。マンション建設の際のローンが数億円あり、Y1、Y2がXに見せた遺産目録によるとAの遺産は大幅な債務超過であった。Aの遺産の大部分は当該マンションが占めていた。
Y1、Y2は当該マンションをY1に全て引き継がせることを希望しており、Xに執拗に「Aの遺産は債務超過だ。Y1が全て引き継ぐので相続放棄しろ」と要求してきた。
Xは、「Aの遺産は債務超過である」というY1らの説明に納得できず、相続放棄はしなかった。Y2は相続放棄をし、Aの相続人はY1とXだけになった。
Xが相続放棄をしなかったことから、Y1、Y2から「ローンの半分を今すぐ払え」などという請求がされるようになった。
XがY1との交渉を当事務所に依頼。

争いになった点と、当事務所における事件処理

(1)争いになった点

マンションの評価額

(2)受任後の処理と結果
毎月の賃料とローンの処理
まず、Aのマンションのローンは、従前、毎月の賃料収入から引き落としがされていましたが、Aの死亡に伴い、賃料も管理会社のところで全てストップしており、ローンの支払いも中断されていました。ローンの債権者である銀行は、Y1に「Xと話し合って早急にローンの引き落としを再開してください」と要求していましたが、Y1とXとの間では話し合いができる状況ではありませんでした。
そこで当事務所が受任後、Y1、銀行、管理会社と話し合い、「管理会社からX、Y1の口座に毎月、賃料を2分の1ずつ入金してもらう」「X、Y1が毎月のローンの支払額の2分の1ずつを銀行に支払う」というスキームで、当事者全員の了解を取り付けて、問題を解決しました。
これにより、Xにローンを差し引いても毎月数十万円のお金が入金されることになりました。
遺産分割本体
次に遺産分割本体については、Y1から遺産分割調停が申し立てられました。
Y1は当初、「マンションをはじめ、Aの遺産は全て私が引き継ぎたい。遺産は債務超過なのだから、私が全て遺産を引き継ぐとしても私からXにお金を払う必要はないはずだ」と主張していました。
途中から、「代償金を払うので、遺産は全て私に引き継がせてほしい。ただ、私には今お金がないので払えるのは数百万円程度だ」という主張になりましたが、その金額もあまりに低額であったため、Xとしては到底受け入れられませんでした。
そこで、「どうしてもマンションを取得したいのであれば、マンションの時価相当額の代償金を支払ってもらわなければ困る。あのマンションは資産価値が高いので、担保を設定すれば追加融資を受けられるはずだ。追加融資を受けて、時価相当額きっちりの代償金を払ってもらえるのであれば、遺産は全てそちらに取得してもらってよい」という提案をしたところ、Xがこれを了解しました。
そこで、調停において、裁判所の嘱託による不動産鑑定が実施され、マンションの時価が算定されました。
鑑定に際しては、事前に鑑定額の見込みを、裁判所から嘱託を受けた不動産鑑定士とは別の不動産鑑定士に確認し、大幅にマンションの評価額、Xが受け取れる代償金が上がる確証を得ていました。
鑑定の結果、予想通り、マンションの評価額が跳ね上がり、Xが受け取るべき代償金の金額は1億円を超えました。Y1が当初の約束通りに、追加融資を受けてこの金額を支払うことに同意したので、調停が成立しました。

以上

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