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取り扱い事例

424 相続を放棄する念書があったが、法定相続分を基準に遺産分割を行った事案

事案の概要

相続関係図

・Xが当事務所依頼者、Yが遺産分割の相手方、Aが被相続人
・●は、相続人、被相続人ではなく、既に死亡している人、
・○は、相続人、被相続人ではなく、生存している人
・横線は婚姻関係を示し、縦線は親子関係を示す(実線が実親子、点線が養親子)

被相続人Aは、依頼者(X)及び相手方(Y)の母。
Aの生前に、XはAの相続について、何も取得しないという一筆を書かされていた。
Aの死後、YからXに対して、Xの取り分は50万円という内容の遺産分割が提案された。他方、YはAの遺産の全容を開示しなかった。
XがAの遺産の調査をしたところ、Aの生前にA名義の預金口座から多額の出金(使途不明金)がなされていることが判明した。他方、X自身もAから現金の贈与を受けている部分がある。
この点について、XがYを問い質したが、Yから満足な回答を得ることができず、1年弱が経過。そうしたところ、Yから遺産分割調停の申立てがなされた。そのなかでYからはAの生前、Aの面倒見を献身的に行っていたとして寄与分についても主張がなされた。
法定相続分を基準とした遺産分割を行い、かつ、使途不明金についてもしっかりと追及していくことを目標に。

問題になった点と、当事務所における事件処理

(1)問題になった点
生前に作成された相続放棄に関する念書の取扱い
遺産の内容(総額)
Aの口座からの生前の払戻しの取扱い
寄与分について

が問題になりました。

(2)受任後の処理と結果

①について

生前における相続放棄・放棄契約は無効とした審判例を引用の上、当該念書は法律上無効であることを主張しました。その結果、調停申立て後、早期の段階で法定相続分ベースで協議を行うことができました。

②について

Yの代理人からは、遺産の内容に関する資料がほとんど提出されなかったため、等事務所において金融機関等に調査・照会を行いました。調停申立て時にはY側より遺産の内訳は自宅不動産及び自宅で保管している現金のみとの説明がなされていましたが、調査の結果、受任前に依頼者が把握していた預金の払戻し以外にも、被相続人が亡くなる直前に多額の払戻しがなされていることが判明しました。

③について

時期を大きく二つに分けて主張を行いました。まず、相続開始直前の出金に関しては、その当時Aが入院をしていたことに照らせば、当該出金はYによるものと推測できるため、Yに対して使途の説明(資料の提示)を求めました。その結果、Yから資料の提示が受けられなかった部分については「預り金」として遺産に計上することが叶いました。他方、Aの生前に払戻し請求書によって払戻しがなされている部分については、払戻請求書の筆跡がY妻のものであったことに照らし、当時、Aが大金を必要とする事情もなかったことも加味すればY一家に贈与されているのではないかと主張しました。その結果、払戻しがなされた金額の半額相当について、Yの特別受益であるという前提で和解を成立させることができました。

④について

Yが主張する療養看護型の寄与分に対し、YはAの生前、Aから毎月10万円程度の生活費の支払いを受けていたことを指摘し、寄与分が認められるための要件である「無償性」を充足しないと主張しました。寄与分については、こちらの主張が全面的に認められ、Yの寄与分は一切認められない和解が成立しました。

以上

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