よくわかる相続講座

相続放棄と限定承認

今までの動画では、遺産を相続することを前提とした話をしてきました。
しかし、遺産の中にプラスの財産よりマイナスの財産(借金など)が多い場合のように、遺産を相続しないほうがいい時もあります。
また、何十年も会ったことがなく、亡くなった方がどのような暮らしをしていたのかわからない、遺産を相続していいのか全く判断ができないという場合や、
どうしても相続したい財産があるが、借金もありそうだ
といった場合には、相続放棄や限定承認といった制度の利用を検討することになります。

この動画では、相続放棄や限定承認がどういった制度なのか、それぞれの特徴と違いを説明しています。

動画編

テキスト編

こんにちは。ロウタス法律事務所の弁護士の高橋です。今回は相続放棄と限定承認について説明をさせていただきます。

(0:10~3:05)
今までは遺産をもらうことを前提に、どうやってもらおうか、何をもらおうかということを前提にお話をしてきましたが、今回は遺産をもらいたくないというお話です。例えばどういう時にこういうことを一番考えるかというと、「負債」。借金が、親の借金が結構あるぞと。借金は相続したくないぞという時に、相続の放棄をしようか、限定承認をしようか、ということを考えます。で、相続の放棄と限定承認と何が違うんですかという話なんですが、相続放棄はすべてもらわない。限定承認はプラスの財産はもらう。マイナスの財産はプラスの範囲でもらうというか相続しますということです。

相続放棄と限定承認

ちょっとこれ意味がわかりにくいんですけど、どういうことかというと、相続放棄はいいですよね。とにかく何にもかんにも関係ありませんよと。親の財産はもらいませんよということだからわかりやすいんですが、限定承認というのは何かというと、例えばAさんがいますと。土地・建物が遺産としてあります。土地・建物と預金があります。で、例えば土地・建物が3000万で預金が1000万あったとしましょう。だけど借金が5000万あったとしましょう。この場合、限定承認をするとどういうことになるかというと、限定承認をすることによって、この不動産と預金は相続できます。ところが、じゃあ借金5000万あるぞと。もらったプラスの財産より負の財産の方が大きいじゃないか、ということになると、もらうだけ損だよという話になると、どうするかっていうと、あくまでこの範囲でもらうってことなので相続をした人は4000万円だけ払えばいいです。それ以上は払わなくてもいいです。

相続放棄と限定承認

これが限定承認という制度です。なかなかいい制度だと思います。実質的にいい制度だと思うんですが、実際にこれ使うのが非常に大変です。

(3:06~4:41)
ちょっと手続きの話をしますね。じゃあどうやったらいいのかという話なんですが、これは相続放棄、それから限定承認どちらも共通することなんですが、どちらも家庭裁判所で行う手続きです。これは。あの何か書類を書いて印鑑を押して、他の相続人に私は放棄しますと出しても意味がありません。家庭裁判所に相続放棄をします、限定承認をしますと言って受け付けてもらえないと、相続放棄や限定承認という効果は出ません。それからこれも共通なんですけど、どちらも相続が始まった、つまり誰か亡くなったぞってことを知ってから3カ月以内にやらないといけません。それからまた、これどちらも共通なんですけど、これある程度遺産に手を付けてからですね、ちょっとこれは大変だと、相続放棄しようとか限定承認しようとしてもしてもできません。相続放棄や限定承認をする時には絶対遺産を触らないでそのままの状態でやってください。

相続放棄と限定承認

(4:42~6:10)
じゃあ放棄と限定承認何が違うのって話なんですけど、一番違うのはどこかというと、相続放棄は相続人がそれぞれ自分1人でやれます。その人が要るか要らんかという話です。限定承認は法定相続人全員がいます。なんでかって言うと、先ほどちょっと絵を書きましたけれど、こう絵を書いた時に、この遺産と負債を見たときに、負債の方が大きい時にもらった財産の分だけ借金を払いますよということなんですけど、遺産全体を見るんですよ。誰かは限定承認したけど、誰かは限定承認してないなんて扱いはできないので、相続人全員で限定承認しなければいけませんよと。

相続放棄と限定承認

ということで言うと限定承認というのは非常に大変です。何が大変かというとたった3ヶ月で法定相続人を全員探し出して、法定相続人全員に印鑑をもらって手続きしないとダメですよって話ですから、これかなり期間的に申立厳しいです。

(6:11~7:41)
じゃあ実際放棄だとか限定承認どういう時に使うのって話ですけど、まあどう考えても借金が多いぞという時には、放棄ですね。もらってもしょうがない。限定承認、どういう時にやるんでしょうというと、実務的には2パターンありまして。よくわからん、遺産がプラスが多いのかマイナスが多いのかよくわからんと。万が一マイナスが多いと困るから限定承認かけておこうという場合。あとそれからどうしても相続したいものがあるぞと、遺産の中でどうしてもこれだけは現物を確保したい、ある不動産であるだとか親の形見の骨董品だとかですね、絶対それに見合うお金を払ってでも、絶対これだけは手にしたいって時にはこれはもう限定承認するしかないです。限定承認しなければ、遺産である以上は放棄をしてしまったら別の相続人にいくか国に持ってかれるという話ですから、自分が手に入れるということを確実にできない。まあだいたいこういった場合です。

相続放棄と限定承認

(7:42~11:18)
あと注意していただきたいのが何かというと、相続放棄する時に、私このプラスの遺産とマイナスの遺産とよく考えましょうねということなんですけど、借金が多いからと言って必ずしも相続放棄しなきゃという話ではないですよ。例えば、保険金であるだとか死亡退職金、こういったお金がどーんと何千万も出るときがあるんですけど、これは多くの場合は遺産じゃないです。そうすると、親の借金がたくさんあると。遺産の現物には特に欲しい物はないけど、保険金や死亡退職金は欲しいというのであれば、まあ迷わず放棄ですね。そうすれば保険金と死亡退職金はもらって、それはもう一切借金の返済には充てなくて済むということになるので、相続の放棄だとか限定承認を考えてるという方は、早めに専門家の方に相談してください。

相続放棄と限定承認

というのは、この3カ月ということを聞くとずいぶん時間があるじゃないかと思うかもしれませんけど、実際に申し立てをするには、これ戸籍取らないといけないんですよ。特に限定承認やる場合には、だいたいですね、相続放棄だとか限定承認をやろうという場合には、亡くなった人と疎遠であるか、疎遠でもないんだけど亡くなってた人がどういう借金があるのかよくわからんって場合が多いんですよ。そういう時には、実は相続人にですね自分の知らない兄弟がいたっていうことも珍しくないので戸籍を追うのが結構大変なんですよ。そうすると、もしこういうことをするっていうんだったら3カ月目に入ってからやるっていうんであれば、もう手遅れ気味ですね。そういった場合には相続放棄のこの3カ月を伸ばしてくださいという制度があるのでこういうのを使ってください。

相続放棄と限定承認

いずれにせよ、ちょっとこれどうしようと、相続していいか悩む時には早めに専門家に相談してください。現にこれ、今日なんですけど私のところに相談がありまして、3カ月過ぎちゃったと、どうしようと何とかならないだろうかと相談が来たんですけど、何ともしようがありません。もうちょっと早く来てもらえれば、相続放棄の伸長をした上で、どれくらい財産がありそうかって、プラスの財産、マイナスの財産をある程度調べてからどうしようか決めれたんですけど、もうとにかく期間過ぎちゃったらなんともならないないですからね。ということで、ちょっとですね、縁遠い人あまり普段会ってない人、どういう財産持ってるかわからない人が亡くなってしまって困ったなぁ、相続をしようかどうか悩むぞって言う時は、早めに専門家に相談をしてみてください。
ということで今日はちょっとイレギュラーな場合ですね。亡くなった人がどういった財産を持ってるかも借金持ってるかもわからなくて相続するのが怖いなあっていう時に検討する2つの制度について説明させていただきました。
ご静聴ありがとうございました。

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