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よくわかる相続講座

何が寄与分にあたるのか?

寄与分の控除が認められる場合は、いくつかのパターンに分けられます。
この動画では、どのようなパターンであれば、寄与分の控除が認められるかを説明しています。

なお、具体的に「自分の場合、これは寄与分に当たるのか?」という問題は、個別の事情によって異なります。

動画編

テキスト編

こんにちは。ロウタス法律事務所の弁護士の高橋です。「今回は何が寄与分にあたるか」。前回、「寄与分を控除する」という制度の内容を説明しました。実際に自分の事案にあてはめて寄与分というのを主張できるのであろうかどうかを判断する時に、何が寄与分にあたるかということをご説明いたします。

(0:27~3:56)
条文上は何が書いてあるか。法律の条文ですね。4つです。何が書いてあるかというと、「労務の提供」、「財産の給付」、あとは「療養看護」、そして「その他」。こういった類型がなされています。
で、何が寄与分にあたるかというところなんですけど、こういった類型にあたるかどうかということよりも、1番考えるべきことは何かというと、どういった行為が寄与分にあたり得るだろうかという話について、典型的な話について、「労務の提供」、「財産の給付」、「療養看護」という3つが挙げられているんですが、条文中も「その他」とあるように、色んなものがあたり得ます。
じゃあ寄与分にあたるかどうかをどうやって判断するかというと、まずはこういった「労務の提供」であるだとか「財産の給付」といった行為が、遺産の増加維持に貢献したんだろうか?ということを考えます。

何が寄与分にあたるのか?

じゃあ「労務の提供」が、なんで遺産の増加維持に貢献したんだろうかということなんですが、例えば被相続人が何か、会社じゃないですよ、何か家業をやっていたとしましょう。農家でもいいです、ご商売でもいいです。職人さんでもいいです。そういう風に家業を行っていた時に、例えば長男が無休で働いていたとしましょう。同居の長男がずっと働いていたとしましょう。そうすると、これもしですね、亡くなった人が、あまり抽象的な話をしているとわかりにくくなるので、こういうケースを考えましょう。で、お母さんは既に亡くなっていて、お父さんが亡くなって被相続人というケースですね。じゃあ、お子さんのうち1人がですね、親の家業を無休で手伝っていたという話でいうと、もしこのお父さんが子どもではなくて他の誰か、第三者を例えばハローワークでもなんでもいいんですけど募集して雇ったとします。そうすると当然給料が出ますよね。ということは、この同居の長男がずっと無休で家業を手伝っていたということは、親からしてみれば遺産が減らずに済んだ、維持できたということですよね。なので、「労務の提供」というのは、例えば同居の長男が給料をもらわず、又はほとんどもらうことなく実家の家業を手伝ってましたという場合には、自分がタダ同然で働いた分だけ遺産が減らずに済んだんだろということで、典型的なパターンです。

何が寄与分にあたるのか?

(3:57~7:20)
次に「財産の給付」。もうこれは言うまでもないですね。子どもが親にお金をあげたという話であれば、当然その分だけ遺産が増えたからでしょ、遺産が減らずに済んだはずでしょということが言えますので、「財産の給付」というのも遺産の増加や維持に貢献しただろうという話です。

じゃあ「療養看護」。これは何かという話なんですけど、例えばですね、お父さんが病気で自分ではトイレにも行けない、お風呂にも入れないという形で本当だったら1日何千円とかするワーカーさんだとか、デイサービスさんだとか、そういう人雇わなきゃいけなかったとする。ところが同居の長男夫婦が頑張って、お父さんの下の世話やお風呂に入れたりだとかですね、ご飯を食べさせたりだとかですね、いろんな介助をしてですね、ケースワーカーさん雇わずに済んだぞ、そのお金が浮いたぞという話であれば、これはやっぱり遺産が減らずに済んだなという考え方ができるかと思います。

あとは「その他」というのは、いろんなパターンがあるんですが、お子さんが頑張ったからお父さんの財産が減らなくて済んだねぇというような話です。例えばどういう場合が考えられるかでいうと、わかりやすい話で言えば、親の財産を管理してあげたというものがあります。これはどういうものかというと、例えば親が賃貸マンションを持っていました。お父さんが賃貸不動産を持っていました。お元気な頃は自分で賃貸アパートをですね、掃除したり修理したりですね、あれこれやって家賃の回収なんかもやっていました。ところが、もう動けなくなって自分のアパート管理できない。そうなったときにお父さんどうすればよかったかというと、不動産会社。こういった所に賃貸管理をお願いすればいいわけですよね。でも不動産会社に賃貸管理をすると、当然管理料取られます。ところがお子さんが不動産の管理をしてあげた。家賃の回収もした。掃除もした。何かあれば色々と入居者の苦情の対処なんかも色々やった。不動産会社に賃貸管理を頼まなくて済んだということであれば、賃貸管理料相当の財産が減らずに済みましたねということが考えられると思います。ちなみに賃貸不動産から出てくる家賃だとか、駐車料金だとかは不動産が生んでるものですから、それ自体は寄与分として貢献したんじゃないですからね。そうじゃなくて、お父さんが自分で管理できない時に、不動産屋に管理任せることなく、タダで誰かが管理してあげたと、お子さんが管理してあげたというのであればその分遺産が減らずに済みました。管理料相当というのがわかりやすいと思います。

何が寄与分にあたるのか?

(7:21~10:34)
あとは実務で非常によく問題となるのが、親の扶養。ちょっと療養看護とは程度が違うんですが、親の生活の面倒を色々と見てあげました。同居して、洗濯一緒に全部やりました。同居して親の分まで長男の奥さんが料理を作りました。親が外出したいと言えば、車乗せてどこかに連れて行きました。そういったことなんですけど、これもよく問題となりますし、寄与分がという風にあたることもあります。が、非常に難しいです。なぜ難しいか?という話なんですが、これは特別受益と全く同じような話になるのですが、寄与分と言うのは遺産の維持、増加に貢献したかというだけじゃなくて、これは特別なものじゃなきゃいけないんですね。特別な寄与じゃなきゃいけない。なんで特別な寄与じゃなきゃいけないかという話をすると、勘の鋭い方は特別受益の所で聞いたこと思い出したかもしれませんが、親子間には扶養義務があるんです。この親子の間というのは、親は子供を養わなきゃいけない。子供は親を養わなきゃいけない。そうすると、親の生活の面倒を見ましたという話については、それは子供としてやるべきことを当然やっただけでしょというように、扶養義務、これを実行しただけだという風に考えられることが多いんですね。

何が寄与分にあたるのか?

ただ扶養型の場合に絶対に寄与分にならないかというと、そういうわけではない。例えばこちらのお子さんが親と同居して、ずっと生活の面倒を見ていた。ところがこちらのお子さんは結婚して、実家から遠い所に住んで、もう何十年もずっと実家に寄りつきもしませんという場合があったとしましょう。こちらの同居してるお子さんが親の面倒を見たのは、確かに扶養義務を尽くしているだけかもしれない。でも扶養義務っていうのは子供たち両方負ってるんですね。そうするとこちらのお子さんだけが同居して、何十年も親の扶養を丸抱えして、こちらのお子さんずっと何もしない。これ遺産分けの時に全く考慮しないということになると、ちょっと不公平だ。ということで、親の扶養をしたからといってそれをお金に換算して、遺産分けの時に寄与分の控除っていうのがすぐできるわけじゃないんですけど、程度の問題です。あまりにもこれは程度として差があり過ぎますねと、この人の負担がものすごく大きすぎますねということであると、寄与分というのを認めて寄与分を控除するということがあり得ます。

(10:35~12:03)
ということでですね、何が寄与分にあたるかということについては、この行為の問題、何をしたの?何か親の財産を増やしたり、減らさずに済むようなこういった行為がありますかということと、それが貢献したのか?そういう結果に結び付くようなものなのか?ということで考えるんですが、ただ、そこについては何でもかんでも結びつけるというものではなくて、親子間には扶養義務というものがありますから、例えば子どもが親に貢献した場合はそれは扶養義務を尽くしただけでしょと言われることもあります。ただし、扶養義務っていうのは、お子さんたち平等に負ってますから、例えば誰か一人だけ同居して何十年も親の面倒丸抱えでしたと。片方の子どもは結婚して何十年も音信不通ですという場合には、寄与分としてこの扶養というのも考慮されることはあるとは思いますし、実際にそういった審判例というのもあります。

何が寄与分にあたるのか?

ということで、こういったことを基準に、ご自身について寄与分というものを主張できそうなのか、相手から寄与分というのを主張されたらそれが寄与分に値するのかということをご検討ください。ご静聴ありがとうございました。

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