遺産分割協議サポート(争いのない場合)
(1)こんな場合にお役に立てます
実際に当職が担当した事件ですが、3人兄弟姉妹のうちのお2人が当職を訪ね、「父母双方の相続が終わっていない。
今のところ、兄弟姉妹間で大まかな合意(兄弟姉妹間で平等に財産を分ける)はできていると思うので、弁護士を立てる等という大げさなことをして事を荒立てたくはない。
だけど、自分達の誰かが話をとりまとめたり、財産を処分するとなると、互いに不信感が出て揉めるかもしれない。
また、遺産の中に株や不動産があるようなのだが、どうやって分けたら平等になるかがわからないし、そもそもどこにどれだけの預金や株があるかも正確にわからない。それなので、信頼できる人に間に入ってもらって円満に相続を終わらせたい。」と相談されたことがあります。
弁護士は、自分の依頼者様のためだけに仕事をしますから、このような相談を受けた場合、通常であれば、相談者お二人のうちのいずれかお一人だけの代理人となって、残りの兄弟姉妹お二人を「相手方」として、遺産分割協議をまとめるということになります。
しかし、それでは、残りのお二人も「姉が弁護士をつけるのなら、自分も弁護士をつけないと太刀打ちできない。」と考え、弁護士をつけてしまいます。
互いに弁護士がついた以上、双方の弁護士は、互いに自らの依頼者様のために最大限の利益を主張するので、相手の弁護士の書面を読んだご本人が、「そっちがそこまで言うなら、こっちも言いたいことがある。」といった具合に、感情的な対立を起こしてしまうことがあります。
そこで、私は、この事案では、
- 1
- 私が全ての遺産を調査し、
- 2
- 最初の遺産分割協議から私が立ち会い、
- 3
- 私が全員に対して平等に「法律はこうなっています。」「裁判例を基準にすると、この財産についてはこのように評価されます」といった知識を提供し、
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- 私のアドバイスを基に、ご本人達に話し合いをしてもらい。
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- おおよそ話し合いがまとまってきたところで、私から、合意内容について遺産分割協議書の文案をいくつか提示し、それぞれの文案のメリット・デメリットを説明し、
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- 私の説明を受けて、相続人の皆さんが納得して遺産分割協議書に署名・捺印し、
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- 遺産分割協議書に基づき、私が登記移転、預金解約、株式の名義変更、保管振替手続、株券の失効手続き等様々な手続きを行い、
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- 財産を処分した状況と結果を、財産目録という一覧表にまとめて相続人全員に説明し、
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- 実費や私の報酬だけでなく、各相続人がそれぞれ何を受け取るかを全員に開示して、
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- 皆様への最終的な財産の引き渡しや、現金の分配まで行いました。
実際、この事案は、遺産分割協議を実行に移している最中に、リーマンショックによる株価・不動産の急激な下落といった事態が発生し、遺産の評価で争いになる危険がありました。
また、株式保管振替制度の導入への対応等手続きも煩雑でした。
しかし、最初から最後まで、私が全員に対して全てガラス張りの状態で情報を開示して、且つ、わかりにくい点があれば、随時説明をしながら進めたことで、相続人間の信頼関係を損なうことなく、円満に終了することができました。
(2)メリットとデメリット
このような遺産分割協議への関与は、税理士や司法書士が行うこともあります。
しかし、現に私が関与した事例では、
- 1
- 相続人の一人が依頼した税理士が、法律上かなり不公平で問題のある遺産分割協議書等を作成し、
一部の書面だけを他の相続人に示して、「印鑑を押すように」と迫った。
印鑑を求められた相続人が不審に思って弁護士に依頼したところ、税理士の示した遺産分割案の問題が明らかになり、感情的な対立を招いた。 - 2
- 司法書士が、「登記に必要だから」と書面(いわゆる903条書面)を作成して
未成年者にまで一律に押印させたが、後に遺産分割が無効とされて、遺産分割をやり直した。という事案があります。
いずれも、依頼を受けた税理士・司法書士が、先々起こりうるトラブルを十分に予測せずに、安易に相続をまとめようとしたことが紛争の原因です。
当職の場合には、「揉めないために弁護士に相談した。」という依頼者様の意向を最大限に尊重し、全ての相続人に対して情報を開示して、相続人全員の信頼関係を保ちながら手続きを進めたので、円満な解決を導くことができました。
このように当職が関与し、情報を全て開示しながら手続きを進めることにより、互いの信頼関係が損なわれず、「相続を通じて仲が悪くなる」ということを回避することができるというメリットがあります。
他方、弁護士がこのような関与をするためには、相続人全員の事前の同意が不可欠ですので、お一人でも反対すれば、このようなサポートができない点がデメリットになります。
3000万円以下の部分 | 2.4% |
3000万円超3億円以下の部分 | 1.2% |
3億円超10億円以下の部分 | 0.6% |
10億円超の部分 | 0.3% |