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よくわかる相続講座

遺産相続のゴールとは?

遺産相続について話し合いをすると、色々と気になることが出てくるので、
 ・何を、
 ・どういうルールで、
 ・どの順番で
判断して処理すればいいのか、わからなくなるなってしまうことが多いと思います。

そんなときには、この項目で説明している「遺産相続のゴール」から逆算して考えると、
 ・どう考えればいいのか、
 ・どう交渉すればいいのか、
がスッキリと理解できます。

動画編

テキスト編

こんにちは。ロウタス法律事務所の弁護士の高橋です。今日は遺産相続に関するお話の第1回として「遺産相続の目的とは何なのか」というお話をさせて頂きます。

(0:19~2:12)
遺産相続の目的というのは、読んだ通り、親やおじいさんおばあさんなりが残した財産をどうやって引き継ぐかということですよね。それが目的、当たり前じゃないかと思うかもしれませんけど、実際に遺産相続の話し合いをしている人たちの進み方というのを聞くとですね、どうもその目的を忘れているんじゃないかというような話し合いになっていることが少なくないです。どういうことかというと、遺産相続というのは、誰が話し合いをするのかといったら兄弟の間や親子や親せきの間で話をします。そうすると財産を分ける時に、ちょっと待てと。「10年前にこんなことがあった。3年前にこんなことがあった。それはどうしてくれるんだ?」という話が出てくる。じゃあそれを遺産相続にどういうふうに反映させるんだという話ならそれでいいんですが、そういう話が出るとですね、「何を言ってるんだ。」と。「それは嘘だ。」とかですね、「そんなことを言うんだったら、俺も今まで遠慮してたけどこんなことがあるじゃないか。」というように話がどんどんと逸れていってしまうんですね。で、そういうのをやっていると、もう遺産相続をまとめようという話じゃなくて、その遺産相続の本体ではない、過去の話が本当かどうかというようなことにどうも意識が集中してしまってなかなか話が進まないとか、そもそも話し合いができない状態になってしまう。というのは私がですね、こうやって年間何百件も法律相談をしてですね、事情をお伺いしている時に全然珍しくない事です。なので、これから遺産相続をされる方はですね、まずゴールを見据えて変な袋小路に入り込まないということを意識して進めて頂きたい。そういうことでまず第1回としてこういった遺産相続の目的という話をさせて頂きます。

(2:13~6:10)
じゃあまず遺産相続なんですけど「遺産」、人が亡くなるとどんな財産が出てくるか、どんな財産を処分しなくてはいけないかということを考えていきましょう。

遺産相続のゴールとは?

人が亡くなるとよくある財産としてはマイホームのような不動産、それから預金や株のような金融資産、あとは預金なんかを持っていたとしても普段全く現金を持たずに生活しているという方は珍しいですから現金を持っている。人によっては銀行は信用できないということでタンス預金で大金を持っておられるかもしれない。あとは不動産。マイホームの中には当然家財道具のようなものもありますし、指輪であるだとか、時計であるだとか、着物であるだとか、あとは絵だとか彫刻とかそういった色々な家財だとか動産一式というのが出てくるでしょう。じゃあこういったものをどうやって相続、生きてる方に引き継ぐかという手続ですが、この線の上と下ではやる手続きが全く異なります。

遺産相続のゴールとは?

想像できますか?この下の現金であるだとか、指輪だ時計だ着物だといったものは、どうやって残された人に引き継ぐかといえば、極論すると持って帰るという話になります。持って帰るというのはどういうことかというと、例えばいわゆる形見分けですね。お通夜の日だとか初七日の日に亡くなった方の金庫や机からこういったものが出てきたと。引き出しからこういったものが出てきた。これを誰がもらって持って帰ろうという話し合いをして、その話し合いに基づいて持って帰れば、明日から自分のものとして使えますわね。持って帰った次の日から。じゃあ上はどうだろう。例えば不動産について、権利書を持って帰ったら、権利書を持って帰った人は明日から自分のものとしてその不動産使えるか?預金については例えば預金通帳と印鑑をもらって持って帰れば、明日から自分の通帳として使えるか?どちらも違います。どちらも、(下の2つを指す)これは相続人の人たちが話し合えば出来るんですが、この不動産や預金ていうのは相続人の方たちが話し合いをして何かを持って帰るというだけじゃだめなんです。第三者に手続をしてもらわなきゃいけない。

遺産相続のゴールとは?

じゃあどういったところにどんな手続をしてもらうかとういう話なんですが、不動産であれば、不動産の持ち主は何で決まるかというと登記というもので決まります。そうすると不動産、例えば父親の不動産を長男がもらう場合には、お父様の名前がある登記を長男の名前に書き換える。そういった手続きを法務局でしてもらう。こういった作業が必要になります。じゃあ次に預金なんかで考えるとどういうことになるか。預金通帳と印鑑を持って帰ったとしても、その預金通帳は亡くなった人の名前です。そうすると生きてる方がその通帳と印鑑を持って行っても「あ、本人じゃないですね。」という話になって下ろせませんよという話になる。そうすると相続人が、その銀行の中にある預金残高のお金を使うためにどうすればいいかというと、金融機関に払い戻しをしてもらう。株なんかであれば、その株を管理してる証券会社に名前を変えてもらう。そういうふうにしないと自分の預金、自分の株として使うことができないということになります。

(6:11~8:30)
そうすると遺産相続をするにあたって次に考えなきゃいけないのは、こういった法務局で登記をしてもらう、金融機関で払い戻しや名義変更をしてもらうためには何をすればいいんという話になります。

遺産相続のゴールとは?

この下の現金や家財道具なんかの話で言えば、話し合いをすればそれで終わりです。じゃあこういった手続きをする時に、法務局や銀行の窓口に相続人の皆さんが行ってですね、「実はこういうことなんだ」と、「我が家の相続はこういうふうにしなきゃいけないんだ」と、「払い戻してくれ。」「名前を変えてくれ。」というふうに事情を説明したとしてその通りになるか?それはなりません。仮にその話が真実であったとしても、これは手続ですのでやり方が決まっています。じゃあ何がいるか?書類がいるという話になります。
じゃあこういったところで手続をしてもらう書類はどんな書類なんでしょうかというと、大きく分けると2種類だけです。

遺産相続のゴールとは?

まず1つ目は何かというと、遺言書(ユイゴンショ)。まあ法律家はイゴンショと言ったりもしますが、遺言書と言われる書類です。これがあれば法務局や金融機関で手続ができます。じゃあ遺言書がない場合、どうすればいいのか?これは遺産分割協議書。遺産を分ける話し合いをして、その結果を書いた紙、これがいります。このどちらかがあれば、それを法務局や金融機関に持ち込めば手続ができるということになります。金融機関については別な扱いがあるんですが、それはまた後日ご説明させていただきます。

(8:31~11:23)
じゃあ遺産相続の目的は何かというと、こういった遺言書や遺産分割協議書を使うことなんですが、この遺言書というのはどんな紙だ?ということですが、遺言書なんてわかってるよと言われるかもしれませんが、遺言書として一番大事なことは何かというと誰が作るかということなんですが、被相続人、亡くなった人が作ったということが重要なんです。

遺産相続のゴールとは?

どうしてかというと、もともとこういった財産というのは亡くなった方の財産です。亡くなった方が生きてる間はどんなふうに処分してもいいんです。売ってもいいし捨ててもいいし寄付してもいいし、どんなふうにしようが自分の財産をどうしようが自由です。そうすると亡くなった人が「自分の財産をこうしてください。」というふうに書いた書類があるのであれば、それに従うのは当然だという話になります。
じゃあ無かったらどうなるか?という話なんですけど、その時に作るこの遺産分割協議書、これは何かと言えば全ての相続人が作る書類。

遺産相続のゴールとは?

でその書類を作るにあたっては、法務局や金融機関に書類を出しますので、確かにその人が作ったというのを確認するために印鑑、実印ですね。全ての相続人が遺産の分け方について実印を押した書類、これを遺産分割協議書というふうに言います。というのはこういった家族を考えてみましょう。

遺産相続のゴールとは?

お父様が亡くなった瞬間に、お父様の名義となる財産について残されたお母様やお子さんたちが判子を押すとどうなるか?お父様が亡くなった瞬間に、法律の世界では法定相続分の割合で相続人の方に分かれます。

遺産相続のゴールとは?

そうするとお父さんの財産についてお母さんやお子さんたちが押す印鑑というのは、それぞれ1/2お父さんであるとか、1/4お父さんという意味があるんですね。この判子が全部集まったらどうなるか?1/1お父さんですから、遺言書を自分で書く場合には(自分の)印鑑を押しますので、この遺言書に押した印鑑と同じだよ、残された人全員が印鑑を押せば同じだよという話になる。そうしたらこれでも手続できますねという話になります。

遺産相続のゴールとは?

(11:24~13:58)
で、そうすると遺産相続において何を考えなければいけないかということで言うと、こういった構造を考えると、まず最初にやることは遺言書を探すということになります。

遺産相続のゴールとは?

まず遺言書を探して、遺言書があるのであれば遺言書を使えばいいという話です。遺言書が無ければどうなるかといったら、遺産分割協議書という書類を作って、これに相続人全員に印鑑を押してもらえばいいという話になります。時々、遺言書があってもですね、外の相続人みんなに印鑑をもらおうという方がいたりしますが、遺言書があるのであれば淡々と使えばいいです。遺言書が無い時に初めて遺産分割協議書を作ればいい。で遺産分割協議書を作るにあたっては必ず全員から判子をもらわなければいけないので、誰か一人でも欠けちゃいけないということをよく考えて下さい。例えば相続人が10人いたとします。相続人10人のうちお1人だけ判子を押さないとどうなるか?10人中9人が判子を押した遺産分割書というのはただの紙切れです。紙切れというのはどういう事かというと、法務局や銀行に持って行っても役に立たないということです。なのでとにかく全員から判子を押してもらおう、逆に言うと遺産分割というのは必要な書類に判子を押してもらえればそこで終わりだということです。
じゃあどういった内容であれば判子を押してもらえるのか?判子を押すべきなのか?という話を次回させて頂きたいと思います。ということで今回の遺産相続の目的ということについては、とにかく遺言書を探しましょう、あればそれを使うだけで余計なことは考えなくていいです。無いのであれば相続人全員を探し出して、どうやったら判子をもらえるかと、判子をもらうことがゴールだと思って手続を進めて下さい。以上です。ご静聴ありがとうございました。

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