394 遺留分減殺請求事件を1週間でまとめた事例
依頼者と遺産について
・男性(42歳)
・3人兄弟(長男・次男・三男)の末っ子(三男)
・被相続人は父、法定相続人は3人兄弟
・「三男に全財産を相続させる。」との遺言がある。
・次男は生前贈与(自宅)を受けているが、まとまった財産を生前贈与されていない兄が「おれの取り分はどうなっているのか、まだ払わないのか?」と頻繁に催促していた。
事案の概要
・Xが当事務所依頼者、Yが遺産分割の相手方、Aが被相続人
・横線は婚姻関係を示し、縦線は親子関係を示す(実線が実親子、点線が養親子)
- ①
- 被相続人(A)は、依頼者(X)及び相手方(Y)の父
なお、Xの母は既に死亡している。また、Xは3人兄弟の三男であり、今回の事件の相手方となったYのほかにも、兄Zがいる。 - ②
- 主な遺産は、現在Xが居住している不動産(実家)と預金
- ③
- 被相続人Aは、公正証書遺言を残していた。内容は「全ての財産をX(依頼者)に相続させる」というもの。
- ④
- 被相続人Aは生前、次男Zに対して不動産を贈与していた。被相続人Aは、長男Yに対しては不動産の贈与はしていないが、Yが経済的に困ったときに、現金による援助を何度も行ってきた。
- ⑤
- 被相続人Aの遺言では、弁護士が遺言執行者に指定されていた。この弁護士が遺産目録を長男Yと次男Zに送ったところ、長男Yから依頼者Xに対して遺留分減殺請求がなされた。
- ⑥
- 遺言執行者の弁護士から当事務所を紹介されたため、当事務所が遺留分減殺事件の処理を担当した。
問題になった点と当事務所の事件処理
①問題になった点
- ①
- YはAの生前、Aから何度も援助を受けているが、援助については必ずしも全て証拠が残っていないため、生前の援助のうちどれだけを遺留分の算定において考慮できるか。
- ②
- Yが体調を崩して入退院を繰り返していたこともあり、経済的に困っており、YからXに対して、頻繁に「早くお金を払ってほしい。いつ払うのか。」と督促の電話がかかっており、Xが困っていた。
②受任後の処理と結果
- ①
- 依頼者Xが、Yからの電話に困っており、とにかく早く解決することを希望していた。
- ②
- 受任した日に、担当弁護士からYに電話をしていたところ、「とにかく1日でも早くまとまったお金がほしい。いつまでに解決するのか。」とYも早期の解決を強く希望していた。
- ③
- そこで、受任した日にXから聞き取りを行い、AからYへの生前の援助の内容を聞き出すとともに、裏付資料のとりまとめを依頼した。その後もXとの打ち合わせと資料の整理、財産の調査を重ね、受任から3日後には、概ね遺留分の算定と裏付け資料の整理を終え、Yへの提案書も作成した。
- ④
- その後、担当弁護士がYと交渉を行い、受任から1週間後にはYとの間で合意書を作成し、本件が解決した。
以上